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松前武道センター15周年記念・武道フォーラムでのスピーチ

松前重義先生は、柔道をこよなく愛されました。柔道会場では、いつも最初から最後まで熱心に試合を見ておられました。日本国内、海外のいろんな選手の名前のみならず技や特徴を実によく覚えておられたことは、私も何度かびっくりさせられました。熱心なあまり、食事を取るのを忘れることもしばしばだったと聞いております。

常に、青年の志を持ちつづけらえ夢を持たれた松前重義先生でしたが、残念ながら、そんな先生にも人生の終わりがきました。私が最後にお会いしたのは、1991年2月、東海大学付属病院にご入院のお見舞いに行ったときです。大変様態が良くないとお聞きしており、覚悟をして行ったのですが、その日は体調が良かったようでベットから起き。差し入れのお寿司をつまみ、なんと我々とワインで乾杯までされました。それが、私にとって最後の先生との面 会となりました。先生のベットの脇には、ご家族の写真と、もう一枚、柔道衣姿の先生の写 真が立ててありまいた。あらためて、先生の柔道を思う気持ちを強く感じ、感無量 の気持ちになりました。しかし、この日を境に先生の容体は悪化し、ついには帰らぬ 人となられました。

松前重義先生には、いろんな席に同席させていただきました。話しを伺うことも多かった訳ですが、その中でも特に心に残っているのは、先生の次の言葉です。

「僕は君に、ただ試合に勝つだけを望んでいない。いや、そんなことは小さいことなんだ。それよりも君には柔道を通 しての友好親善、またスポーツの立場から世界の平和に貢献できる人間になって欲しい」


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