講演録 / 新聞・雑誌クリッピング

2005年11月04日
讀賣新聞「ダウン症乗り越え 柔道初段」
五輪メダリストも応援 19歳赤尾さん
8年かけ夢実現
【シンガポール=花田吉雄】
ダウン症の障害を乗り越えて柔道に打ち込むシンガポール在住の赤尾祐介さん(19)がこのほど柔道の昇段審査で初段に合格、柔道の総本山である講道館(東 京都文京区)から免状が授与された。「知的障害者が有段資格をとった例は極めて珍しい」(関係者)という快挙。当地の柔道連盟道場で9日、授与式が行わ れ、両親や柔道仲間も大喜びだ。
祐介さんは11歳の時、柔道三段の父良一さん(52)の勧めで、シンガポール柔道連盟の道場に入門した。
自分の中に閉じこもってしまうこともあったが、道場の師範や各国から集まる入門生からの温かい励ましを受けながら練習を重ねるうちに、筋力、休力ともに大 きく向上。昨年、マレーシアでの交流試合で、健常者を相手に「大外刈り」で初めて一本勝ちを収めてから、大きな自信をつけた。
初段の昇段審査は昨年末、講道館の審査員2人の立ち会いのもとで臨んだ。「6か月後に再審査し、習熟度が向上し、初段に相当する実力があると認めれば認定する」との結果だった。
祐介さんの「初段挑戦」の話はやがて日本の柔道界にも伝わり、1984年ロサンゼルス五輪の柔道無差別金メダリスト、山下泰裕さんや、アテネ五輪の柔道女子70キロ級金メダリストの上野雅恵選手が激励の色紙を送ってきた。
柔道関連誌が奮闘ぶりを取り上げるなか、祐介さんは道場仲間の協力のもと、一層、練習に打ち込んだ。
そして、7月16日に地元で行われた再審査で見事合格。講道館の審査会から初段の認可が下り、黒帯を締めることが許された。
シンガポール市内の柔道連盟道場で9日に行われた授与式では、師範や仲間たちから「祐介よくやった」と熱い祝福を受けた。祐介くんは恥ずかしそうに「うれしい」と言いながらも、満面の笑みを浮かべた。
父良一さんは「道場のみなさんが支えてくれ感謝の気持ちでいっぱい」。常に練習場で見守ってきた母明子さん(45)も「夢のような気分。祐介の挑戦は家族にも生きがいを与えてくれた」と喜んだ。
審査員の1人、坂元英郎八段(マレーシア在住)は「祐介君のがんばりは、道場みんなの大きな励みになる。目標を持ってさらに上を狙ってほしい」と期待を寄せる。
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