代表選考会の注目、井上と鈴木
柔道の世界選手権

 
世界選手権(9月、大阪)の代表最終選考会を兼ねた6日の全日本選抜体重別(福岡市民体育館)で、一番の注目は100キロ級の井上康生(綜合警備保障)と鈴木桂治(平成管財)の戦いだろう。この階級に2人を倒すだけの選手はいない。順調にいけば、決勝で対戦する。

井上は五輪、世界選手権の王者だが、鈴木も迫る力はある。この1年でバランスがよくなった。今大会にすべてをかける気持ちだろう。

鈴木が勝つとすれば、まず組み手で制すること。組み負けると、井上の技が連続で出てくる。あとは足だ。鈴木は足技がうまい。足を多用して井上のペースを崩し、強気で向かっていく。その時にチャンスがある。

井上は取るべきタイトルをすべて取って、何が何でも勝つという意識が薄らいでいるかもしれない。そういう状況で、自分をうまくコントロールできずに、淡々とするようだと、落とし穴にはまることになる。井上は自分との闘い。試合に勝つということだけではなく、自分の理想の柔道を実現するという目標を持たないとだめだ。

結果は分からないが、2人の間に一本を簡単に取るだけの力の差はない。いずれにしても、見応えのある試合になることは間違いない。今年から採用されたゴールデンスコアの延長になる可能性も十分にある。
(全柔連男子強化部長、東海大教授、朝日新聞社嘱託)

2003年04月06日付、朝日新聞朝刊
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