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『武士道とともに生きる』出版から山下基金まで
『武士道とともに生きる』
著者:山下泰裕/奥田碩
出版社:角川書店
発行年月:2005年 04月
サイズ:単行本
ISBN:4048839144
本体価格:1,400円
(税込:1,470円)
4月28日に出版された「武士道とともに生きる」は、第一回 日ロ賢人会の朝食会で、奥田経団連会長と柔道の話をさせていただいたことがきっかけで、奥田会長との共著が実現したものです。

 奥田会長は一橋大学時代に柔道をやられていたそうで、柔道の話で盛り上がりました。「ところで、僕は若いときに、『姿三四郎』を読んで柔道に夢中になったんだけれども、あの本は翻訳されて海外に出ているのかな?」と奥田さんに聞かれ、「でていないと思います」と答えたら、「それをぜひ、やりなさい。僕も応援するから」とおっしゃった。

 そのときは、「柔道に興味を持っていただいていて、よかったな」くらいに思っていました。その後、経団連の方から、「会長もああ言っていますから、経団連も協力しますので、ぜひこの話をすすめてください」といわれました。しばらくして、トヨタの方から「トヨタにもぜひ応援させてください」と持ちかけられました。


紆余曲折はありましたが…

 『姿三四郎』は、明治維新後の独特な時代を背景にしている作品なので、正確に英訳したとして、それがどこまで理解してもらえるのか、という問題。
 また、三四郎は、他流派やアメリカ人ボクサーなどと戦って倒してゆくわけですが、これは、いまの柔道界が異種格闘技との試合を推奨することにもなりかねないかという懸念があった。
 それから、国政的な側面もある。
 
 そこで、角川書店さんからの提案で、奥田会長と私とで、『姿三四郎』を題材に、それぞれの生き様、人生で目指していること、そんなことを語り合って、それを本にしようということになりました。

 奥田さんは、本が大好きで、むかしからさまざまな本を原著で読んだり、とにかく、ものすごい量を読むそうなんですね。しかし、ご自分で本をお書きになるというのは、いろいろな話があっても、なさらなかったそうなんです。それが、こんなかたちで本を出そうということになった。


山下を囲む会の発足

 もう一つ驚いたのは…。

 1月にトヨタの東京本社に伺って、奥田さんと秘書の方とお会いしたときに、「この本の出版記念パーティーをしましょう」という話になって、奥田会長が、「出版記念パーティーをやるよりも、山下君を囲む会をやろうよ。そして、山下君がいまやっている国際的な活動を支援するような、そんな動きを作ろうよ」とおっしゃった。
 そうして5月30日、奥田会長と角川書店の角川歴彦会長、日本柔道連盟の嘉納行光会長が発起人になっていただいて、山下を囲む会が発足しました。

 奥田会長は「来年になったらトヨタの会長も経団連の会長も辞める。そしたら少し時間ができるので、山下君の活動を支援してゆきたい」と雑誌に書いてくださった。
 ものすごくうれしいし、ありがたいことです。これは、よっぽど腰を据えて頑張らなくてはイカン。気を引き締めて、襟を正して、背筋を伸ばして、やっていかなければならないな、というのがいまの本心です。


「山下基金を作ろう」

 この印税は、奥田さんは最初から「俺は一銭もいらない」とおっしゃって、「世界の柔道のために、発展途上の国々や貧しい国々を支援する山下基金を作って、その原資にしよう」ということになって動き始めました。
 ですから、興味のある方がこの本を買ってくださると、その収益は、世界の貧しい国々や柔道の発展途上の国々を支援するお金につながっていくわけです。



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