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全日本柔道選手権大会(4月29日・日本武道館)に向けて

全日本選手権も、前売り券は早々と売り切れ、盛り上がりを見せています。この大会は、無差別です。優勝を争うのは、世界大会3連覇の井上康生、並びに昨年の世界選手権無差別級の優勝の鈴木桂治、重量級優勝の棟田康幸だと思います。

鈴木は、ドイツの国際大会は素晴らしいできで優勝したと聞いています。昨年の全日本では決勝で一本負けしました。今回の全日本選抜体重別では試合の直前に中指を痛め、準決勝で敗退しました。ショックも大きいと思いますが、一流選手の条件は気持ちの切り替えが早いこと。反省するのは、全日本が終わってからです。戦っている最中は落ち込まず、自分を信じて前を向いていって欲しい。チャンスは、まだあります。組み合わせはきついですが、気持ちを切り替えて自分の柔道を出し切ることに徹して欲しいと思います。

体重別の棟田の試合は、よいところがありませんでした。私はテレビの解説で「膝でもけがしているのではないか」「どこかおかしい」と話しました。技が出ない、気迫もない。もうあんな試合は見たくないですね。だから、今回は順当に準決勝まで勝ち上がってくるでしょう。準決勝の鈴木、棟田の対決で勝ったものが100キロ超級の代表になる可能性が高い。棟田には、原点に戻って謙虚に、全力を出して欲しいですね。

昨年は井上が鈴木に劇的な一本で勝ちましたが、今回のこの3名の力は拮抗していると思います。手に汗握る、かなり競った決勝になることは間違いないでしょう。

この大会は無差別ですから、軽い選手も出場します。81キロ級の河原正太、90キロ級では、松本勇治、筒井宏樹、小野俊教、小山昌規、飛塚雅俊、泉浩など、軽い選手ががんばることで試合全体が燃え上がりますよ。また、学生の選手たちの若い力にも期待したいですね。ここ2年間の全日本選手権は非常に充実したものでした。今年も見応えのある試合が展開されると思います。

次回のご報告では、全日本選手権の総括とアテネ五輪へ向けての展望をお話しする予定です。




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