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新年ご挨拶と今年の抱負(2004年1月9日)

 

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。


私にとって昨年は大きく活動の場が変わった年でした。28歳まで選手、引退してからは指導者の立場でしたが、2003年は国際柔道連盟(IJF)の教育・コーチング理事となり、柔道の行政に関わる事となりました。それに伴い、仕事のフィールドも日本から世界へと広がりました。

ここ10年間で最も慌しい1年でした。しかしその忙しいスケジュールも、良い仲間のおかげで無事こなす事ができました。成長できた1年でしたし、充実していたのではないかと思っています。そして2003年は新しい年への準備期間でもありました。

2004年は私にとって、「世界での柔道の普及と発展」を目指した活動がスタートします。お金も時間もない私ですが、幸いにも周囲の人に恵まれていますので、たくさんの方々の協力を仰ぎながら、世界での柔道の発展、それを通して日本と世界をつないでいければと考えています。柔道の心は日本の心です。柔道が日本を正しく理解してもらう助けになればと思います。



アテネオリンピック

そして世界での普及・発展だけでなく、日本柔道の強化も両立させたいと思います。今年はアテネオリンピックです。男子の候補選手は1月上旬から沖縄で、女子はハワイで合宿に入ります。4月まで激しい代表争いが行われるでしょう。

オリンピック代表は過去1年間の成績を元に選びます。まず昨年9月の世界選手権の結果が重要視されます。この大会で金メダルを獲得した選手は選考に有利な状況にあるでしょう。しかし、これだけで決定するわけではありません。1月から3月にかけての国際大会、そして4月の全日本大会が大事になってきます。

国際大会では1月下旬のロシア国際(モスクワ)、2月上旬のパリ国際、そして2月下旬のドイツ国際(ハンブルグ)が大きい大会です。それ以外にもいくつかの大会に日本選手を派遣します。
派遣選手一覧)。
そして4月は下記のように大会が続きます。

04日(日) 全日本体重別選手権 (福岡市民体育館)
11日(日) 全日本女子体重別選手権 (横浜文化体育館)
18日(日) 全日本女子選手権 (愛知県武道館)
29日(祝) 全日本選手権 (日本武道館)

やはり注目は世界チャンピオンの3人が2つの椅子を争う、男子の重量級でしょう。世界選手権では井上選手が100kg級、棟田選手が100kg超級、無差別の鈴木選手が勝ちましたが、オリンピックでは無差別級がありません。100kg級と100kg超級の2つの枠を巡って熾烈な戦いが始まります。鈴木選手は100kg級での挑戦を表明しています。

代表選手が決定した5月以降に詳しくお話したいと思いますが、アテネオリンピックでの日本選手の金メダルの数は4個(±2個)と予想しています。前回のシドニーでは金4個(男3個・女子1個)、96年のアトランタでは3個(男2個・女子1個)でした。

昨年大阪での世界選手権での結果(金6個)と内容が良く、期待していますが、一方で前年の世界選手権と翌年の五輪を連覇した選手は、非常に少ないのも事実です。前回は男子100kg級の井上選手と、女子48kg級の谷(旧姓田村)選手の2人だけでした。前年の世界選手権チャンピオンは、オリンピックでは徹底的にマークされるのです。

選手にはアテネの舞台で遠慮することなく、プレッシャーに負けず、のびのびと自分の実力を全部出し切って欲しいと思います。オリンピックは4年に1度しかありません。夢に向かってチャレンジ!です。



今後の活動予定

さてこれからの予定ですが、1月10日から47日間、ヨーロッパへ行くことになりました。まずアテネへ行き、IJFの教育・コーチング会議とセミナーに参加します。16日からはプレオリンピック大会にも出席します。そこからは北欧デンマークへ飛び、東海大学付属高校で「現代文明論」の授業を行います。高校生を教えた後、今度は自分が勉強する番です(笑)。

エジンバラで2週間、語学学校に通います。友人宅にホームステイして、24時間英語漬けになる予定です。昨年はニュージーランドとニューヨークで4週間ずつ語学研修に行ったので、少しは上達したと思いますが、もっと若いときに勉強しておけば良かったといつも反省してしまいます。

2月5日からはパリへ入り、日本の選手団と合流します。7・8日はパリ国際大会です。大会の後は国際オリンピック委員会(IOC)の本部、ローザンヌへ行き、オリンピック・ソリダリティコースのレクチャーを受けます。このコースは発展途上国などのコーチや選手へのスカラーシップや支援などに関するプログラムです。IJFでも積極的に利用し、柔道の発展に役立てたいと思います。

13日からはブタペストへ行き、ハンガリー国際大会。18日からはオーストリアのウィーンです。ここでは「松前カップ国際柔道大会」を見てきます。日本へ帰国するのは25日となります。これほど長い旅行は初めてですが、多くの関係者と話し合いの機会を持ち、これからの仕事に役立てたいと思います。



イラクへの柔道支援

11月の終わりに、IJFのパク会長を通じてイラク柔道連盟から支援の要請が来ました。イラクでは戦争の混乱で、スポーツ施設から柔道着や畳が盗まれ、柔道をすることができないというものでした。現在、様々な方のご協力をいただいて、柔道着を100着、畳を200〜300枚、イラクに送る準備を進めています。ヨーロッパから帰国する頃には良いニュースをお知らせできると思います。




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